私の仕事は空のロールカーテンを降ろすこと。
楽しかった日も、うれしかった日も、
悲しかった日も、悔しかった日も、
決められた時間にカーテンを降ろす。
赤い夕焼けが
もうちょっとだけ…
と、別れを惜しんでも容赦なくインディゴの幕を
降ろす私の仕事。
ある日、夕暮れ空の下を一人ぼっちで歩いている
一人の女の子がふと立ち止まって私に話しかけてきた
お願い!もうちょっとだけ
カーテン降ろすの待って…
えっ??
女の子が言い終わる直前、自分の存在を知られている
ことに驚いた私の手からロールカーテンの紐が放れた。
するすると夜が降りていく…
その後、女の子がどうなったのか、気になった私は
カーテンにぷっつり穴を開けた。